2013年8月30日金曜日

風立ちぬ

おばんです。
だいぶ涼しさが感じられるようになりました。

ええと、今日から、彼女(といってももう既にヨメになりましたが)が海外に出張(取材旅行?)なので京都駅まで見送りに。帰ってくる来月半ばほどまで会うことができません。

「いいなあ、海外」とぼそっと言ったら
来年の春、一緒に行きませうとのお返事が。

(果たして、行けるかどうかは限りなく疑問形。でも行くぞ!)

新婚旅行とかもいまのところは予定が全然たちあがらない。
まず一緒に住まんとなあ〜。
再会が待ち遠しい。


とりあえず、京都駅での見送りのあと、せっかく駅まで来たのでそのまま帰るのも忍びなく、八条口側のイオンモールの5Fのコンプレックス系映画館(T・ジョイという)に行って、公開からひと月にして名作と名高い、うわさの「風立ちぬ」(宮崎駿監督・スタジオジブリ)を遅ればせながら観てきました。




まず、宮崎アニメと呼ばれる作品群の中には、これほどに長期的というか、時間的なスパンをもったものはなかったのではないか、と思いました。

(子供時代の思い出から、上京、就職、結婚を経て戦闘機を開発するまでと、長い期間を圧縮してストーリーが描かれています。)

これは今までと違い、ひとえにこの作品が「やや大人向け」であることと関係しています。過去に実在したひとりの人間の人生を追っていくというアニメは、とても子供の理解できる範囲をこえます。だからこの映画に感動できるのも、大人です。

80年前の日本が、外国を相手に戦争をしていたことも、なかなかちいさい子には説明しても受け入れにくいでしょうし、いろんな予備知識がないとディティールを知ることも出来ないから、「何言ってるのかな、この人たち」みたいな印象になる可能性大。


さきほど、ある方のこの映画のことを扱ったブログの記事が大変参考になって、ポイントをかいつまんで言うとつまり「主人公は、天才もしくは有能であるが、本質は愛とは無縁の人間であり、ヒロインを愛していない」「監督は主人公と自分とを重ねている」「破壊志向、自己中心的な世界観、そして人の冷たさをも表現した非常に残酷な映画である」

とありました。これ以上の解説はないかもというほど見ぬいておられる。
とても本質をついた批評で、うなりました。

しかし、それを差し引いても、この映画は魅力的だった。
この映画にあるのは、美的なものへの倒錯だけではない。
いろいろなものを内包してひとつの作品に仕上がっています。

人として二郎は薄情者でしたが、それはアタマが良すぎるためです。
主人公について「にいにい様は薄情者です!」と会うたびに妹のカヨが怒っているように、もちろんそれは本人にも分かっています。でもそれは大した問題ではありません。


ある意味、ここにはもうひとつヒロインである菜穂子の物語も存在していて、それはゼロ戦や無縁なのです。菜穂子は二郎の仕事をしている時の横顔が好きだと言っていましたが、それは格段ゼロ戦がどうなろうと関係ない、あくまで生き生きしている二郎のそばに居たいという心持ちなのです。この劇中で、彼女は彼女なりに自分の人生を全うします。

このアニメの中には、戦争を美化したりとか、愛を賛美したりとか、何かを誇張するようなものはむしろ抑えられて表現されています。省けるところは徹底して省かれている。
歴史的にねじ曲げられたことなどもそれほどないんじゃ・・ないか、と思います。

その、本当の堀越二郎氏が本当にアニメの主人公みたいだったか、などは分かりようもないんですが、原作の小説がこうで、ゼロ戦の成績がなんとか、正義はどうよとか、そういうの抜きで感動できる作品なので、もう省略してよろしい。

このように、宮崎監督の嗜癖とフェチとワガママと無茶によって構成されたアニメがこのように感動を呼びさますとは、不可解の極みである。普通、こうはならない。やはり、原作の文学性が、ひとつの筋道を与えているからかなあ。

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今回も宮崎監督がポニョのようないわゆる「子供に夢と希望を」みたいなノリのアニメを制作していたなら、今回も劇場に足を運ばなかったと思う。何を隠そう、宮崎アニメを見に劇場に足を運んだのは「千と千尋」以来のことであった〜〜。





最後に、雑誌「CUT」に掲載されたという、監督のインタビュー切り抜きを。


宮崎氏は述べている。
「いや、これはたぶんオフレコにしなければいけないと思うんですけど、戦争の道具を作った人間の映画を作るんですけど、スタッフにも女房にも『なんでそんな映画を作るんだ?』って言われて、僕もそう思うんですけど(笑)。
 だけど、歴史の中で生きるということはそういうことだと思うんですよ。それが正しいとか正しくないじゃなくて、その人間がどういうふうに生きたかっていう意味ではね。その男はその時の日本の、もっとも才能があった男なんです。でも、ものすごく挫折した人間なんです。物造りを全うできなかったから、敗戦の中では、ずたずたになってったんですよ。でも僕は彼が『美しいものを作りたかった』ということをポツっと洩らしたということを聞いてね、『これだ!』と思ったんです。」
「なんでこんなものを作ったんだろうと思ったの。美しいものを作りたいという動機がないと、作れないもんですよ。兵器を作ってないんです、この男は。その動機が結果的に、美しいものを作ったけど、それが結果的に高性能の武器だったという。ある意味では悲劇の主人公なんですよ。』

Ate Logo !!

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