2013年1月13日日曜日

時計の電池交換

えー。腕時計として使ったことは多分一度もないけど、セイコーの地味な腕時計を持っている。

確か、中学生くらいのときに受験のため親に買ってもらったもので、
文字盤がまるで学校の壁掛け時計のような堅苦しいデザインで、まったく味気ない。

でも、デジタルよりも見やすく、大学の時からずっとコレを机の上にセットしており、かなり正確な時を刻むので、修正の必要もない。数年に一回、電池交換の時に直してもらうい程度だ。

で、ついぞ最近、といっても先月からだけど電池切れのため動かなくなっていた。
電池を交換すればいいだけなのに近所に時計屋が見つからず、延ばし延ばしになっていて、年を越してしまった。

そんなわけで、先日思い立って、最初に住んでた出町の商店街でまた換えてもらうことにした。








そこは河原町通に面した古びた時計屋さん。
「ごめんください」

外観からも想像できるが、入ると、もう家具も建付もなにもかもが昭和初期の感じ。
見回す壁には時計屋としては決して多くない数の掛け時計が一斉に時を刻んでおり、店内を騒がしくしている。それがここの薄暗い家屋のもつ一種のうす気味悪さ、なにか張り詰めたような空気をいっそう緊張感のあるものにしている。

(そうか、うん、いっかいここには来たことあるな)
と過去を逡巡。なんだか見覚えがある。

「いらっしゃい」
出てきたのは、痩せ型の、メガネをかけた顔の細い女性。年齢は、私よりも一回りほど上くらいだろうか。にこやかに迎えてくれた。気難しい店主が出てくるものと思っていたから、拍子抜けした。この人じゃないな、と思った。前に電池を換えたのはかなり年のいった男性だった気がする。もしかしたら娘さんかな。声の調子にしても、物腰の柔らかい人だ。

電池を換えてもらうのに、大した時間はかからない。
黙って座って待つ。
しかし、ここで思わぬツッコミを受ける。

「お客さん、去年 電池かえられてますね」

え!?去年換えたかな。そんな覚えはないけど。


「うちじゃないけど、別のところで換えられてるみたいです」



どうやら、時計の裏蓋に、時計屋が電池交換の日付をその都度打っていいるので、そういう事が一目でわかるのだそうだ。しかし、本当に換えた覚えがない。

「でも確かに、電池の容量はゼロになってます。おかしいなあ。」

そう、この腕時計の電池はたった一年でなくなるようなモノじゃない。
もしかして、どこかで減っている電池を入れられてしまったのか? 謎。

「うちで、2003年にいっかい電池交換していただいてます。」

そうか、10年前に来たのか。

それ以来、一回くらいは止まったと思うけど、なんせ思い出せない。

「もし、本当に去年電池換えてたんなら、もう中の油のほうとかもかなり汚れてますので、電気を余計につかっているかもわかりません。だから、とりあえずもう一年ほどちょっと使っていただいて様子見てもらって、減りがはやいようならそろそろ中をいっかい全部、掃除をしてもらったほうがいいと思います」

そりゃ高くつきそうですね、分解清掃には、お幾らくらいかかるんですか?

「5,6千円くらいですね」

それなら、いっそ新しいのを買うかもしれない、と答えておいた。
いまは、交換だけでちゃんと動いているから、大丈夫。


でも、時計屋は、そんなことをしているんだ。
裏ぶたに、日付を刻印していたんだ。

━━(;゚Д゚)━━!!


知ってましたか??
それで、時計の調子とかを推し量ることも出来るんだ。

時計屋、恐るべし。

あの物腰のやわらかいメガネのおばちゃんも、時計のプロなんやって思ったら、なんか凄いものを感じました。ぜったいに、また次もここに来るだろうな。もー間違いない。


以上、時間の止まった昭和初期の時計屋からお送りしました。
この続きは来年レポートいたします。皆様ごきげんよう。


Ate proxima vez!

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