2012年2月17日金曜日

春との旅 /川の底からこんにちは

小林政広監督の「春との旅」(2010)を観ました。

小林監督は、「バッシング」以来、ファンになって、見れる作品はチェックするようになりました。でもまだ二三コですけど。

「春との旅」は紛れもない傑作だと思った、出来る事ならスクリーンで見たかった。

とブログ書いてる時に、淡島千景さんの訃報が舞い込んできた、お悔やみ申し上げます。気仙沼の淡島千景の肝っ玉ねえさんは、ものすごい良かった。


あらすじ…、北海道で二人きりでくらす元漁師の忠男と孫の春が、忠男の故郷東北へと親類をめぐる旅に出る。目的は、お荷物になった忠男を、養ってくれと忠男自身が身内を頼りに行くこと。これ以上、春の人生の負担になりたくないという決意からだった。

キャストが名俳優ばっかり。それを生かし切っている。
それぞれの役者らが集まることはないが、皆、春や忠男との交流を通して、思い出や過去、人生の悲哀と情感を浮き彫りにする。ベテラン個性派と呼ばれる俳優たちが、仲代達矢にぶつかって行っているみたいにも見えて、そこも見事だし面白い。


一番グッと来たのは、戸田菜穂演じる春の父の再婚相手、伸子が忠男に「一緒に暮らしませんか」と泣きそうな感じで提案するシーン。それはできませんね、とはっきり拒絶しながらもひたすら涙をこらえる忠男(演じる仲代達矢)。たぶん、再婚した父のことをおそらく許さないであろう春の気持ちを、汲みとっていると思われる。本心ではやっぱり・・・と思わずには居られないシーン。戸田菜穂がなんだか可哀想である。

*****************************************
「川の底からこんにちは」(2010)

監督・脚本:石井裕也

 新進の若手監督石井裕也の渾身の一撃。
「愛のむき出し」(園子温)でヒロインを張った、満島ひかり主演。

ストーリー:東京でOLをしていた木村佐和子は上京して5年目で、仕事もヤル気がなく、恋人の健一はバツイチで子持ちの上司という、妥協だらけの人生を送っていた。そんな彼女にある日父が入院したという知らせが入り、田舎に戻って家業のしじみ工場を急きょ継ぐように言われる。佐和子は乗り気ではなかったのだが、田舎暮らしがしたい健一に押され、結局連れ子と3人で行くことになる。田舎に戻ったさわ子を待ち受けていたのは…。(続)





満島ひかりの演技もさることながら、この脚本がまたよい。ヒロインがヒロインでありながら、局所において自己否定を余儀なくされる現代的映画。そして全然かっこよくない人生。工場でしじみをパック詰めする毎日。「がんばるしかないよ、どうせ三流の人生しか送れないんだよ。だからがんばろうよ」と自分を突き放してからのドライブ感が素晴らしかった。いろんな落とし所にはやや疑問も感じたが、いまの日本映画界に希望をもたらす映画はこの映画ではないかと思ったりした。

こぼれ話として、脚本を気に入った満島ひかりが監督に「私を選ばないと損しますよ~」など自分からアプローチしたと、本人が語ったという。

で、監督と満島ひかりはなんと結婚までいってしまった。映画恐るべし。


0 件のコメント: