2014年5月5日月曜日

前線兵士の逃亡 すき家閉店騒動(続き)

で、前回の続きであるが、このように複数の店舗から、一斉に労働者が逃げ出し、それによって店が閉まるという事態に発展するというのは、おそらく国内で初めてなのではないか。(たぶん。)

インターネット上でのバイト同士による団結、というのを経営者側がイメージできなかったせいもあるかと思うが、思うに、それ以上に経営者は労働者をほんとに「ロボット」か「奴隷」みたいに考えていたのではないか、と思う。

自社の利益の確保、というよりも、日に日に熱を帯びてゆく牛丼戦争のなか、ライバルとの競争に勝つため、とりあえず今は末端のアルバイトに我慢してもらって・・という発想なのかもしれなかったが、単にアルバイトのためだけに働いている人たちを自分のエゴ(牛丼戦争)に巻き込んできるのは、ただ単に一方的に経営者がそうしたいだけの話なのである。客もアルバイトも料理も置いてけぼりである。

これは、過去に日本が太平洋戦争(第二次世界大戦)で犯した過ちと非常に似ている。
要するに現実を無視して、自分のイメージの中で倒錯をしているのである。






つまり、すき家の経営者においては、自社がぎりぎりのコスト削減の努力が実を結び、他の牛丼チェーンがデフレ及び人件費&食材高騰の波に飲まれてゆく中、うちの社(ゼンショーグループ)だけがあらゆる手段を駆使して生き残る、、そして他社の追随を許さない絶対的牛丼ファストフードの王者への道へ・・・というようなストーリーを思い描き、その夢の中でうっとりと自分の将来をまだ見ぬパラダイスに運んでいった気でいたのだろうか。

旧日本軍部にみるように、イメージに心を奪われ現実を見なくなった上層部というのは、本当に「死ぬ気でやれば、何でも出来る」といった思想を末端に押し付けようとするものだ。つまり

「お前らが国のために死ねば、戦争に勝つ。お前らは死んでくれ。お国のために!!」

というこれ以上救いようもない、殺人メッセージだ。


今回のすき家の「鍋定食」のオペレーションも、だいたいこれに似たようなところがある。(すべてを一人でやるというところで、まず破綻は目に見えるはずなのだが)

だから正確に今回の騒動の原因を分析すると
まず最初に来るのが「オペレーションの崩壊」なのである。
「従業員の逃亡」は二番目だ。

おそらく、すき家の正社員の方々は、自分で店を回すどころか、牛丼を一から作ることすらやることのない人たちであろうことは容易に想像できる。
この人たちは、自分たちが「絶対に最後まで生き残る日本最強の牛丼チェーンだ」というポジティブな信念のもとに、店舗経営を完全に「人任せにしてきた」会社員なのであろう。そのために、会社にこもって、いろいろアイディアをだしたり、会議を繰り返したり、上からの意見を聞いたり、マーケティングをしたり人員削減をしてすき家をでっかくしてきたのだが、実際のところそれを続けることが出来たのは「現場のアルバイトの根気や忍耐、サービス残業などの奉仕」だったということに、今回の騒動で、お気づきなられた。(はず)

さて、今後もすき家は、そのようなすき家に限りなくご奉仕してくれるような労働者を取ろうとするのだろうか。それとも、値上げを断行し、イメージを改善して、もっと広く普遍的なアルバイトのための窓口を作れるだろうか。それか、思い切って半分以上の店舗を閉め、アルバイトに依存する体質を改善し、牛丼戦争からの脱却をはかり、「現場主義」の会社として再スタートをきるか。

まあ、いずれにしろ、すき家がなくなったところでさほど困ることもない。
すき家が直面している問題は今の日本をよくあらわすかのような、製造業界における「人材供給をどうするか」という大きな、そして切羽詰まった難題である。
とりあえず、今後の動向にしばし注目したいところです。


☆「吉野家」「松屋」については、もし「すき家」がコケた場合、二大勢力になるので、値上げとかもちょっとは容易になるだろうし、差別化もつけやすいので、両方とも生き残れるかもしれません。


Ate Logo!!

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