2009年7月11日土曜日

生産されるうつ

Yahooのニュースで、「うつ病社員切りが始まった」というような記事を読んだ。

http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20090706-00000002-aera-soci

サラリーマンをうつ病に追い込むのは、間違いなく会社だ。
その過酷な労働と過剰な束縛がうつ病の原因ならば
どこかで誰かがストップをかけないといけないのだが、
肝心の上司も、本人もまわりの人もそれをかけられない。

それはなぜかというと、おそらくその場にいるみんながそういう状態だからではないか。
自覚したくないから、気がつかないふりをする。そのまま放置していると、そこに暗黙の了解が生まれて、最悪の状態になるまで何もしない。何もしないというか、何もできないというのか。そこに立ち入ることはすなわち、自分の心に踏み込むことに等しいからである。

一ぽたりとも踏み込めないからこそ、うつ病になった人を簡単に切りすてられるのではないかと推察する。あくまで「なかったことにしたい」からである。

あるいは、家族という意味での共同体として、会社、企業といったものがうまく一人ひとりのこころを支えられなくなってきていて、集団の中でそれぞれの個人を孤独に追いやっているのかもしれない。

うつ病にかかるひとのほとんどは責任感が強いので病気も自分のせいと考えるようだが、個人がいくら精神科に通院して治る努力をしても、汚れた水を毎日同じように飲んでいて病気が治るとはとうてい思えない。むしろ逆効果である。しかし、うつ病が個人の問題ではないとはっきり認識できたとしても、そこで共同体が変われるのだろうか。そこに大問題。

村上龍氏が言っていたが、「この春、内定取り消しをうけた学生は、実はラッキーだと思った方がいいんだ」と言っていた。「内定を取り消すような、経営状態の悪い会社に危うく入社するところだったんだから。前向きに来年のことを考えるべきだ」と。ほんとうにそうだと思う。

わたしは、うつ病や自殺者の増加は、都会に蔓延した自己責任論における人心の無視だと思っています。そうやって共同体が人の心をささえられなくなった社会では、より宗教的なモノが台頭してくるのではないか。って・・・なんだか最近幸福実現党という気味の悪いポスターが近所にたくさん貼ってあって、すげえコワい。

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