2016年8月15日月曜日

読書がしたくて〜 コンビニ人間 

どーもです。

芥川賞、みなさんはチェック入れてますか?

私はいつもチェックはしてません。タイトルと受賞者だけ、頭に入れます。
頭に入れますが、すぐ忘れてしまいます。大抵の場合、読むことはありません。

お笑い芸人又吉さんが著した話題作「火花」(240万部!?って)はうちの実家にあると聞いて、帰省の際に読もうと思っていてまだ読んでいない。

つまり、芥川賞や直木賞の受賞というタイトルそのものには、そこまで価値が有るような気がしていない・・というより、まあ、そこまで追いつかないって感じですね(汗)読みたい気は、もちろん、あるんですけども。

まあ、純文学って言っても、大概終わってるし(笑)。

と・・思っていたんですが、


いろいろ修正しなければならんのです。


コンビニ人間」(村田沙耶香著)
という作品が、155回芥川賞を受賞してしまったわけなんです。

そのときタイトルだけ見て「むっちゃ読みたい!!」と思ったわけなんです。

そのあと、新聞の広告でみたら「村上龍が絶賛」というお触れがついていて
「すばらしい!」とコメントが書いてあって、

「村上龍がすばらしい、っていう『コンビニ人間』ていう小説とは・・。
一体なんだ!?」

と余計気になって早速近くの「ホホホ座」という書店に注文しました。
(話題作だけに、届くまでわりと時間を要した。)


ネットのニュースで読んだところでは、著者自身が、現在もコンビニでアルバイトを続けておられるとのこと。授賞式で、自身のコンビニのバイトの今後について聞かれ「店長に相談します」といった猛者である。

(インタビュアーの質問の裏に「小説家として生きてゆくうえで、コンビニのバイトを続けるよりか、普通ならやめて、部屋で一日中書き続ける方を選びますよね」、といった圧力をここで感じたのだが、考えすぎだろうか?)



で、読みました。(ネタバレあり)

読むのにさほど時間はかからなかった。

読んでみた感想は、
「さくっと読めたはずなのに、心に突き刺さっている」
でした。確かに言えるのは、すごくいい小説です。読まれるべき本です。

あまり詳しくかけませんが、ストーリーに関係のないことを書きますと、コンビニは均質な空間だということです。過度にシステム化が進んでおり、店員は時々まるでロボットのように見えます。小売店なのに、万札を出して嫌な顔をされたことは、ただの一度もありません。おそらく日本だけの現象です。


もし、コンビニの店員が村上龍の小説の中に出てきたら、なんか、こいつ絶対次のページで死ぬなとか思うはず。村上の小説は、システムの奴隷になっている人間を憎んでいるから。


コンビニでしか生きられない=コンビニのない場所はない=われわれはコンビニを必要としている、という図式が成り立つ。御存知の通り日本そこら中コンビニだらけです。田舎や海外に行ったら、コンビニがなくてビックリします。無いものにびっくりするというのは、無意識に、あるはずのものを探しているということです。



また、この小説の落ちに関して「ラストは圧巻」「衝撃的結末」などという言葉が散見されたが(主にネット上。)
そこまでの衝撃というよりは、非常に考え抜かれた自然なラストと言うべきではなかろうか。主人公が最後までコンビニ人間を貫き通すのだろう、という未来が見通せないまま終わってしまったら、この「コンビニ人間」という題の小説は完成しないわけです。

この極めて自然なラストにびっくりしたり、衝撃と感じた人は、普通の人間の感性を多く持っている人だろう。
後戻りせず、主人公が新しい道を行くことを、心のなかで歓迎しながら読み進めていたに違いない。

自分はそうじゃなかった。
「早いところ、コンビニ店員に戻ってくんねえかな〜」。
そう思って読んでいた。

作者が、このラストを、いわゆる「普通の人」のために用意していたなら
恐るべき才能と言わざるをえない。
客観的というより、普通に生きる人・・というか普通の人間として社会に同化して生きる人々をおそろしく静かに、透明な心情で見つめているとしか言いようが無い。


まだ読んでない人のために、あらすじを書くとしたら、
「コンビニ人間(コンビニ依存の時給労働者)が、周囲の妨害に会い、紆余曲折ありながらもふたたびコンビニ人間として生きてゆく決意を新たにした物語」
となるであろうか・・。

再生の物語である。


この文を書きながら、思い出したのは、あるバーの店主の話。

その店主は、以前は契約社員として、大手のエネルギー会社に勤務していたことがあるそうで。配属先は、お客の電話応対で、主にクレーム受付。。同僚の女子の中には罵倒されて泣くとかは日常で、辞める者も多くいる中、もともと、人と話をすることが好きな彼は、人の話を何時間でも聞いていられるタチだったそうです。電話越しに地道にクレームを聞くことがそれほど苦にならなかった、というか一種の特殊能力を活かし楽しんで仕事をこなしていた彼は、次第に上司に使える奴と思われるようになり、ある日「昇格」を命じられることになります。それは、クレーム対応処理チームの「教育係」です。もちろん、給料もあがるし、何より、社員への道が開けるという高待遇です。

しかし反面、彼にとっては、自分に向いているはずの仕事を奪われただけでした。
自分が、お客と話すことが出来ない職場は苦痛に変わることに。
そうして、職場を離れることになり、今のバーを開いたそうなんです。


ところで、この作品を「エンターテイメント」
「面白かった」
「スッとした」
という感想が相次いでいますが、とてもそんな気には、なれませんでした。どちらかといえばグロテスクの部類であり、これ読んだあと「何か心のつかえが取れた」とか思ったのって、やっぱり世間と同化する能力が高いんじゃないかな・・。

私は逆ですけどね・・。


Ate Logo!!





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