2011年1月13日木曜日

JMM 編集長のコメント

JMM (ジャパンメールマガジン)の編集長であり小説家の村上龍氏。彼がいつも書くコメントばかり読んでいるのだけど、今回のはいつにもまして印象的だったんでばメモがわりに。


http://ryumurakami.jmm.co.jp/

■Q:1145
 就職状況は、超氷河期と言われています。厳しい就職活動を行っている大学、高校
生に対し、何か励ましの言葉、アドバイスがあれば、お聞きしたいと思います。
                                  村上龍
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(回答者らへのコメント)

Q:1145への回答、ありがとうございました。日本の企業には基本的に解雇権
がないので、業績が思わしくないところは、まず新卒の採用を抑制します。不況の際
には新卒を採用しないという企業も当然あります。新卒の社員には、固定費だけでは
なく、研修やOJTなどの費用も発生し、実務のトレーニングもされていないので、
企業にとって新卒採用の抑制は不況時には合理的であると言えます。


 似たような合理性が見られるという意味では、「戦争と兵士」についても同様かも
知れません。映画や小説などで得た情報しかありませんが、神風特攻隊の隊員たちに
は中高年はほとんどいなかったようです。すでに太平洋戦争末期には戦闘機もベテラ
ンパイロットも不足していたせいもありますが、たとえばラバウル航空隊の尉官の戦
闘機パイロットは20代前半が多かったという指摘もあります。ラバウルに着任した
とき、撃墜王・坂井三郎は若干25歳という若さでした。


 短期的に考えると、配分する資源が不足しているとき、国家や企業などの共同体に
とっては、経験を積んだ年配層より、若年層を犠牲にするほうが合理的です。現在の
日本もまさにそういう構図になっています。ただし、長期的に考えると、若年層が犠
牲になる共同体・社会は活力を失い、やがて衰退・没落します。少子化が進行し、人
口が減り、社会は保守的・閉鎖的になり、対外的に、また階層横断的に、ダイナミズ
ムが失われるからです。日本を被う閉塞感は、デフレの結果ではなく、原因かも知れ
ません。


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別に現在の状況を特攻になぞらえているわけではないと思いますが、ハッとなってしまった。サービス残業とかも、言ってみれば自主的にやっているとも言えるし、会社のためにやっているとも言えるのである。特攻みたいといえばその通りかもしれない。自己犠牲的な精神が重んじられるということなのだろうか、そうやって交通事故死者よりもおおくの労働者が毎年毎年自らの手によって死に追いやられていると考えると、腑に落ちる部分もあるんだよなあ。未来では、いったいこの時代はどんな言葉で語られるんでしょうか?

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